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不動産調査報告書

不動産鑑定士が不動産鑑定評価等業務を遂行するに当たっては、不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価を行うことを原則とします。しかしながら、社会的ニーズの多様性に対応するため、不動産鑑定評価基準に則らない評価書として「不動産調査報告書」を発行する場合があります。

不動産調査報告書の形式は、不動産鑑定評価書と同じ評価手順を尽くし単に表題のみが不動産調査報告書となっているものから、やや簡略化して記載してあるもの、お客様の費用負担の要請などから机上で作成されたものまで、態様は様々です。

不動産調査報告書は,不動産鑑定評価書と比較して料金も安く設定されており、納期も約1週間~2週間と短いことが特徴ですが、「価格等調査ガイドライン」により公表・開示・提出などが制限されており根拠資料あるいは立証資料としての自由度が劣ります。




不動産調査報告書として発行できる場合

次のような対象不動産の経済価値に大きな影響を与える「想定上の条件」を付加して評価を行う場合には不動産鑑定評価書として発行することはできず、不動産調査報告書として発行することになります。
(1) 未竣工建物を含む不動産の竣工を前提として行う価格等調査
(2) 土壌汚染の可能性を考慮外とする価格等調査
(3) 建物環境についてアスベスト等の有害物質の存在の可能性を考慮外とする価格等調査
(4) 埋蔵文化財又は地下埋設物の埋蔵又は埋設の可能性を考慮外とする価格等調査


なお、不動産調査報告書として評価書を発行するためには、国土交通省が定めた「価格等調査ガイドライン」により、次のうちいずれかに該当することが必要となっています。
(1) 調査価格等が依頼者の内部使用にとどまる場合
(2) 調査価格等が公表・開示・提出される場合でも、公表される第三者又は開示・提出先の判断に大きな影響を与えないと判断される場合
(3) 調査価格等が公表されない場合ですべての開示・提出先の承諾が得られた場合
(4) 不動産鑑定評価基準に則ることができない場合
(5) その他「依頼目的、調査価格等が開示される範囲又は公表の有無等」を勘案して不動産鑑定評価基準に則らないことに合理的な理由がある場合


(注) ここで、価格等調査ガイドラインとは、国土交通省が定めた「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」を指しています。