『To Heart』、Windows用ゲーム、
リーフ、1997年。

T147cm、B68cm、W52cm、H73cm。
一部のかたがたが泣いて喜ぶような体型ですね(爆)。 もちろん本物はもっとずっとかわいいです(涙)。


 もともと、なんで僕が『To Heart』Win版を購入したかというと、某掲示板のAns.Qで「泣ける小説or映画を教えてください」という質問についた、

> 「To Heart」のマルチシナリオはいいぞお。泣けるぞぉ。
> ↑いやいや、あかりのほうが(爆)

 というふたつのレスを見たことによる。もちろん当時僕は『To Heart』を知らなかったから、漠然と、

「『To Heart』というゲームがあって、シナリオが分岐するのらしい」
「で、同じ形式で『あかり』というゲームもあるのらしい」

 と、いまなら考えられないような“(爆)”な感想を抱いた。しかし偶然というのは恐ろしいもので、その一週間後くらいに僕は『別冊宝島421 空想美少女大百科』という本を購入することになる。

 これはアニメやゲームに登場する美少女約100人を13の要素にカテゴライズして紹介したものなのだが、なんとそのわずか100の椅子のうち、『To Heart』のキャラが三人を占めていたのだ。

 しかも、さらに狭き門(約半数の52名)である巻頭カラーページに、その三人全員がエントリィ! さらに、本文の扱いは(三人だけなのに)、マルチの特別コラムを入れて7ページ

 一般からもその筋(笑)からも評価の高いソフト。これは買うしかない! で、ソフト屋さんに直行。・・・実はWindows用ソフト(当時はPS版発売の2ヶ月前)だったのが判明。このときほど自分のパソコン買ってよかったと思ったことはない。すぐさまパソコンショップへ。

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 前置きが長くなった、とっとと本題に入ろう。さて、『To Heart』を購入、インストールして最初のプレイは、もちろんマルチ狙いだった。

「マルチシナリオはいいぞぉ」が購入の最初のきっかけだったのだし、『空想美少女大百科』では、ライターさんがそれはもう熱くマルチについて語っていた。これは期待度120%。で。

・・・約五時間後。パソコンの前で顔を涙でぐしょぐしょにしている自分がいた。泣けた。もう手放しで泣けた。久しぶりに、気持ちいいくらいに泣けた。

 僕はいままでマルチを6回クリアしているが、そのたびに必ず泣く。・・・これだけで充分紹介になるだろうと思うのだが、それじゃあんまりなのでもうちょっと。

 マルチは実は正式名称をHMX-12という、家庭用メイド(お手伝いさん)ロボットの試作機だ。ものごとを経験しながら憶えていく“学習型”のロボットなので、テスト(データ収集)のために主人公のいる学校に通っている。

 マルチはいつも、なにかに一所懸命に取り組んでいる。掃除を押しつけられたりパシリをやらされたり、とにかく人間に“与えられた”仕事を一所懸命にこなす。というか、こなそうと努力している。

 あんまりいいようにこき使われている(ように思えた)ので、主人公が「メイドロボットには人間に反抗できないような機能でもついてるのか?」と訊くと、

> 「わたし、皆さんが喜ぶ顔を見るのが、嬉しいんです」

 ある意味、マルチは究極の「よいこ」といえるだろう。人間であれば嫌味(というか偽善者)になってしまうのかもしれないこのことば。ロボットという設定が、それを抑える効果を生んでいる。

 とにかく、そんなマルチを放っておけるわけがない。主人公(つまりプレイヤー)は「掃除は好きじゃないけど」、会うたびにマルチの仕事を手伝うことになる。

 そして。自分を「かよわい女の子」として扱ってくれる主人公に、マルチも次第に好感を抱いてくれるようになる。

 しかし突然の、そして永遠の別れがやってきた。マルチのテスト期間最終日、いつもは明るいマルチの微妙な陰に気付いた主人公は、その理由を問いただす。

 テスト期間が終われば、マルチのメモリ(=記憶)は開発会社のメインコンピュータに移される。 からだにはまた別のCPUとメモリが入り、別の場所でテストが行われる。つまり、テスト期間の終了は、そのまま現在のマルチの消滅に繋がる・・・。

 それじゃ、死ぬのと変わりないじゃないか。もし今後街で偶然会えても、マルチは俺のことを憶えていないし、気付きもしないのか? そんなんでいいのかよマルチ、お前怖くないのかよ? ・・・マルチは微笑んで、こう答える。

> 「わたし、ロボットですから」

 自分の記憶は、将来生産される筈の量産機、いわば妹たちのために必要なのだ。自分はそのために生まれてきたのだし、妹たちが自分と同じように人間を大好きになってくれれば、それで自分の生まれてきた意味は充分に果たされるのだ・・・。

・・・すいません。このまま書いていくと完璧にネタばれになりますし、どうやら泣いてしまいそうです。だからストーリィの紹介はここで終わります。すでに目をしばたたかせて、鼻がぐずぐずいってます。

 僕はマルチに“萌え”たわけではないと思う。たぶんストーリィで泣いているんだと思う。ただ、きっとマルチのストーリィは、“マルチ”でなければ感情移入できなかったものだろうとは、やはり思う。

 ともかく、もしこれを読んでいるあなたがまだ『To Heart』をプレイしたことがないのなら・・・。一度プレイしてみる価値はありますぜダンナ。中古で買えばモトは絶対取れることを保証します。



備考:本店(『Marchy's Fieldwork』)に『ジャンク置き場』というコーナーがあって、“『To Heart』Win版自作攻略マニュアル”というのを置いています。興味のあるかたはダウンロードして使ってみてください。


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『別冊宝島421 空想美少女大百科』、1999年1月3日発行、宝島社。
















































もっとも多かったのがさすがの『ときめきメモリアル』(ドラマシリーズを含む)で、特別コラムの紐緒さんを含めて、なんと10人(!)。

以下『トゥルー・ラブストーリー』と『美少女戦士セーラームーン』の5人、『センチメンタルグラフィティ』および『同級生2』の4人。

というわけで、『To Heart』の3人は『新世紀エヴァンゲリオン』や『Piaキャロットへようこそ!』と並ぶ、かなりすごい記録なのです。
















































『トルー・ラブストーリー』が5人のエントリィに対して6ページ、同じく5人の『美少女戦士セーラームーン』が特別コラムを含めて7ページなのを考えると、これは破格のページ数です。つまりそれだけの価値があると、編集者が認めたのでしょう。

ちなみに内訳は、マルチ2ページ、マルチの特別コラムが2ページ、神岸あかりが2ページ、姫川琴音が1ページ。