←大瀧詠一『A LONG VACATION』。1980年リリースの、不朽の名作。使い古されたことばですが、いま聴いても全然古くなく、むしろ新鮮な感じがします。
・・・って思うのはおぢさんだけかもなあ。いまの若いひとたちは「なにこれだっさあー!」っていうかも(←弱気)。


 大分に住んでいると、クルマで移動することが多い。というか、18歳以上の大分県人にとって最重要な交通手段は自動車だといっても過言ではなかろう。

 クルマの運転というのは、結構不便だと思う。“ながら”が限られてくるからだ。両腕と両眼が運転のために費やされてしまうために、ノートパソコンでフリーセルをはじめるのはもとより、本を読むこともできない(←あぶないっつーの)。

 いきおい空いている器官、つまり“耳”を退屈しのぎに使用するわけで、このところカセットテープ(僕の愛車の軽トラックにはカセットデッキはついているが、CDチェンジャーは装備していない)を聴く機会が多い。

 とはいえ、手持ちのアルバムをいちいちカセットテープに録音していたのはやはりレコード時代のはなし。CDならなん回聴いてもスリ切れる心配はない。テープ代だってバカにならない。

 また、学生の頃は帰省するたびに好きな曲を編集したテープを作っていたが、それも社会人になって帰省の手段が青春18きっぷから飛行機に移行し、また実家にいる(=クルマに乗る)時間が短いとなると、次第にやらなくなった。

 というわけで、いま僕がクルマのなかで聴く音楽は、ほとんどが'80年代から'90年代初頭のもの(それもほとんどが日本のアーティスト)ばかりになってしまっている。

 で、いま僕はしみじみ思う。'80年代の音楽はよかったなあ、と。

 はなしはかわるが、最近ちょっと気持ち悪いことがある。日本のアーティスト、というかバンドやユニットの、名前の略称(アブリヴェイション)についてだ。

Mr. Children→ミスチル
Pocket Biscuits→ポケビ

 これくらいなら、まあ、許せる。しかし、

The Brilliant Green→ブリグリ
Hysteric Blue→ヒスブル

 こういうの、なんか音的にヤだ。文字感(見た目)的にもキレイじゃないし、イメージが正式名称から百億光年くらい飛んでいってしまってるような気がする。また、

Something Else→サムエル
The Yellow Monkey→イエモン

“サムエル”は最初目にしたとき天使かシトの名前だと思ったし、“イエモン”は東海道四谷怪談の主人公かピカチュウの仲間だと思った。あと、ちょっと不思議に思うのが、

Every Little Thing→ELT

 なんでこのユニットだけ、NATOとかCIAとかIRAみたくアルファベットの略称なんだろう。正式名称が英単語三個だから、というのなら、

Dreams Come True→ドリカム

(英単語1と2の複合形)の例があるから別に“エヴリル”だって構わないと思うし、

My Little Lover→マイラヴァ

(英単語1と3の複合形)というのもあるわけだから、“エヴシン”でもいいと思う。まあ、逆にドリカムとマイラヴァが略称を“DCT”と“MLL”にしてもいいんだけど(でも変だ)。あと、単語みっつといえばいちおう、

Judy & Mary→ジュディマリ

 これなんかひどい。略称にする意味がない(まんまやんけ)と思う。もともとJudy & Maryは略称をJ.A.M.にしたいと思ってこんなバンド名にしたみたいだし。いや、まあ、そんなことはどうでもいいとして。

 こういう略称は、いまや新聞のTV欄にまで浸透している。もっとも、略さないと番組紹介欄がバンドひと組かふた組で終わってしまう可能性もあるので、仕方ないのかもしれないけれども。

 でも僕はTV欄を見るたび、やっぱりこういう略称に違和感を覚えてしまう。ひと昔前はこんなくだらないことに違和感なんて感じなかったんだけどなあ、と思いながら。

 で、自分所蔵のテープのアーティスト名('80年〜'90年代初頭)を調べてみた。すると、当時僕が好きだったバンドorユニット(個人名除く)は、

 チューリップ、オフコース、TMネットワーク、ハウンドドッグ、RCサクセション、Y.M.O.(イエロー マジック オーケストラ)、ユニコーン、ザ ブルーハーツ、ラフィンノーズ、PSY'S、爆風スランプ、パーソンズ。

 英語(もしくは日本語との複合)の名前だけど、シンプル。略すことができるのはTMネットワーク(→TMN)くらい。Y.M.O.なんて自分から略しているし。まあRCサクセションは“RC”、爆風スランプは“爆風”と呼ばれることもあるが、それで意味は通じる。略称じゃないから。

 '80年代から'90年代初頭にかけてのアーティストって、こうだったんだなあ、と思う。シンプル。考えてみれば、サウンドだっていまみたいにごてごて(というと失礼かもしれないが)していない。もっとも、もっと古くなると、

 六文銭、フォーク・クルセイダーズ、赤い鳥、かぐや姫、風、はっぴいえんど、シュガーベイブ、愛奴、サディスティック・ミカ・バンド、頭脳警察。

 こんなところが思い浮かぶ。まあクルセイダーズとミカ・バンドは長いが、ほかは軒並み略す必要がないほど短い。“風”なんてひと文字。略称の“ヒスブル”ぶんで文字アキ含めて“愛奴”と一緒に紹介できてしまう。

 はなしを戻す。ここ一、二年で僕が購入したCDのアーティスト(個人を除く)は、

 ウルフルズ、ZARD、19(ジューク)、Judy & Mary、スピッツ、ポケットビスケッツ。

 こんなところ。Judy & Maryとポケットビスケッツを除けば、みんな短い。というか略そうにも略せないものばかり。あと、購入までは至っていないけど“ゆず”も好き。

「名はひとを表す」というけど、バンドやユニットの名前をつけるセンスというのは、音楽に通じる部分があるのかもしれない。考えてみればウルフルズもZARDも19もスピッツも、音楽的には決して“最先端”ではない。

・・・結局、おぢさんが、過ぎた昔の感慨にふけってるだけなのかなあ、とも思う。でも、若いひとたちになんと思われようと、やっぱり僕は'80年代とその音楽というのは最高だったといいたい。

 たぶん、ある時代に青春を過ごした人間にとっては、その時代の風俗というのがもっとも肌に合っているのだろうと思う。あ、いや、こんなこと書いてること自体、自分がおぢさんだとゆってるようなものなのだが。

 最後に。いくら名前が短くても、SPEEDとDOSとMAXは感覚が受け付けません。


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手元にあるJudy & Maryの『MIRACLE DIVING』のクレジットには、

> Produced by MASAHIDE SAKUMA and J.A.M

とあります。ちなみにJAMというのはイギリスの有名なパンクバンドのようです。会社の先輩に貰ったインディーズ時代のJudy & MaryのCDを見ると、彼らって完璧にパンクバンドです。














































ちなみに“ELT”を最初に目にしたときは“卵、レタス、トマトのサンドイッチ”かと思いました。

注:アメリカ(たぶん)では、ベーコン、レタス、トマトのサンドイッチを“BLT”と呼びます。