んー・・・。なんかヘタな絵を掲載するような内容じゃなくなっちゃったです。いえ、ブラックジャックの似顔絵描いてスキャナで取り込もうかとも思いましたけど、もう20年ほどBJの似顔絵描いてないし。


 母方の祖母は、某私立病院の老人介護センターというところに入院している。老人介護センターとはなにかというと、痴呆症やほぼ寝たきりの老人が共同生活している場所だ。

 大分に戻って、はじめて祖母に面会しにいった。母と一緒だ。母は病院の夕食の時間に面会にいくという。なんでわざわざ慌ただしいメシどきに、と思っていたらすぐに理由がわかった。

 介護センターの食事は、階毎に設けられた体育館みたいなホールで皆さん一堂に会して行うわけだが、祖母の食事の仕方が異様に遅いのだ。高齢で手がうまく機能しないため、スプーンでおかゆをすくって口に運ぶまでに十秒はかかる。

 いやしかし、高齢者の食事に時間がかかるのは、本来あたりまえだ。手もうまく動かないし、自前の歯もほとんどないわけだから。それが“異様に”遅いと感じたのは、周りのお年寄の食事が、逆に異様に速かったからだ。

 そこでは三十人くらいが食事を摂っていたが、九割方のひとは十五分足らずで食事を終え、あるいは自分の脚で、あるいは車椅子で、次々にホールを出てゆく。

 うーむ齢を取ると食事が楽しみになってくるというのは本当だなあ、しかし食欲が旺盛なのはいいことだ。一瞬そう思ったが、実はそれも間違っていた。食事開始からわずか二十分足らずでホールにヘルパーさんたちが集まってきて、いきなり後片づけと清掃がはじまったのだ。

 そのときまだホールに残って食事を続けていたのは、祖母とあと数人のひとたちだった。驚いたのはヘルパーさんがまだ食事を終えてないひとのところへいき、おかずをおかゆのなかにぶち込んでどんどん食べさせていることだ。

 さすがに僕と母がついているので、祖母に対してそんな暴挙に出る人間はいない。ところがその段階になっても祖母の食事は半分がた残っているのだ。

 そうしている間にも祖母の座っているもの以外すべてのテーブルが片づけられ、床のモップ清掃がはじまる。見かねて母が「あとは部屋で食べようね」と持参した数個のコップ(全部流動食だから)に食事を移し、祖母の車椅子を動かしはじめる。

 しかしこれ、なんか変じゃないですか。僕は早食いで有名でたいていメシは十分で食い終わるが、健康な青年でもメシ食うのに三十分かかるなんてふつうだろう。

 ましてやお年寄。咀嚼力も弱いし早食いは本来からだによくないらしいし、それなのに食事開始から二十分足らずで後片づけをはじめるなんてあんまりじゃないか。無料で養ってもらってるってならわかるが、こっちはカネを払ってるんだぞ。

 母はわざわざ食事どきに“面会”にいくのがよくわかる。このぶんじゃ付き添いが誰もいない場合、祖母がどういう扱いを受けるか想像するだけでも怖い。

 で、だ。病院の付属施設だから、毎日回診というのがある。これもこのセンターのウリのひとつ。毎日先生に診てもらえるし、具合が悪くなっても併設された病院ですぐに処理できる、と。ところが、母によると毎朝先生が廻ってくるのはくるのだが、

先生「今日はご機嫌はどうですか?」
老人「ええ、いい加減です」
先生「それはよかった」

 これで終わり。全員同じ内容。まあ問診っちゃあ問診だが、聴診器当てるわけでなし熱を計らせるわけでなし、個々のひとにはひとなりに気をつける点なんかがあるだろうに、そんなのもなし。

 ちなみに祖母は六人部屋に入っている。部屋にはTVもないしラジオもない。まあお年寄は耳が遠いのが常だし、六人部屋でTVやら大音量で観られても困るだろうが。

 で、それで月にいくら払ってんだと聞いたら十万円だという。まあそれなら許すかと思ったら、老人用の健康保険で本人負担は二割だから、実は五十万円になるという。

 ひえええっ。センターには百六十人のお年寄が暮らしている。それだけで月の売上(失礼)は八千万円。うごごごご。ブラックジャック先生もびっくり。俺、医大にいっときゃよかった。

 僕は、以前勤めていた会社の規模が非常に小さかったので、いつも、

「なにか仕事を依頼されたらその材料費はもちろん、打ち合わせと制作を併せた自分がそれに費やす時間(に自分の給料を時給計算した額をかける)、交通費、その他もろもろの経費一切合切を原価として考え、そのうえで利益が出る値段でなければ受けてはいけない」

 といわれていた。・・・というと非常に厳しいようだが、

「それで原価割れするような仕事なら、断って会社で読書か勉強をする」
「原価割れする仕事でも、それがあとあと利益になる仕事なら受けてもよい」

 の二項目が付属していたから、まあそれほど暇にもならなかったし忙しくもなかったが。

 でも、まあ、そんなことはどうでもいい。そんなわけで、僕は自分が客の立場でも、そのサーヴィスもしくは品物についてその対価を払う価値があるかどうか、常に考えるようになってしまった(←けっこう嫌な奴だね)。

 で、介護センターのサーヴィスだ。本人が十万円しか払っていないにしても、病院側は五十万円受け取っている。本人だって長年高額の保険料を払い続けて老人になったわけだから、これは実質本人が全額払ってるといっていいだろう。

 仮に僕が入院してる立場だったら。十万円ならセンターのサーヴィスは、まあそれ相応といえるだろう。しかしくどいようだが、病院に入るのは五十万円。それも実質は自分が払ってるようなものだ。だとしたら、その内容には首を傾げざるを得ない。

 さて、ここからが問題だ。祖母は二ヶ月ほど前に、市の福祉施設からそこに移った。すると以前は出されなかったクスリを飲まされるようになった。もちろんクスリ代は別途。それで体調がよくなったかというと、逆に悪くなっているらしい(母のはなしだが)。

 たまりかねた母が院長に「あのクスリは以前は必要なかったのですが、どういう内容のものなんでしょうか」と申し入れた。すると怖ろしいことに、後日他のひとを通じて圧力がかかってきた。どーゆーことかというと、

「じゃあ出てってください。こっちゃそれでぜんぜん構いませんよどうぞどうぞ」

 なんで祖母が福祉施設から介護センターに移ったかというと、市の施設はひとり三ヶ月しか利用できないからだ。市内には他に老人用病院や施設はない。隣町に出ればあるんだろうが、それじゃもしものときに駆けつけるのに時間がかかる。

 では自宅に引き取ればどうなるか。いま介護保険制度ってのがいわれているが、たしかにちょいちょいとメノコ算しただけでかなりの手間と労力が要るだろうことはわかる。

 朝から夜まで、誰かひとり面倒を見る。汚れものの洗濯もある。食事も栄養のヴァランスを考えて、しかも流動食にしなければならない。先ほど出てきた原価計算を採用すると、どう考えたところで十万円ではアシが出る。

 そう、だから「出てってください。こっちゃ構いませんよ」が脅しになるのだ。おかしなことに、入院してれば四十万の保険が下りるが、自宅療養では出ない。ヘルパーさんを雇うのに補助が出るくらいだ。

 いや、まあ、それはどうでもいい。許せないのは病院長がもちろん間接的に、非公式にではあるが、「先日の発言を謝れ」と母にいってきたことだ。

 そりゃどういうことだ。インフォームド コンセントということばを知らんのかおのれは。五十万円に見合ったサーヴィスも提供しないでしかもクスリの説明を求められて怒るとはなに事だ。そーゆーの逆ギレっつんだぞ。

 このはなしを聞いてあまりにムカついたので、母に「新聞とかに投書してやれ」といったら、「新聞には実名が出るから知られたらやっぱり『出てけ』っていわれるし、それで結局なにが変わるわけでもないから、やっぱり謝りにいく」という。

 しかしやっぱり納得いかないので、僕がここに書く。もう国も自治体もどうでもいい。「医は仁術」なんてことば、どこにいっちゃったんだろう。結局悪い奴が儲かるようになってるんだ、世のなかは。まったく、ブラックジャックのほうがまだ良心的に思えてくる。

 しかしねえ。今後ますます高齢化が進んでくってことだし、これからどんどんこんな医者が増えていくんだろうね。不景気のなかでも、高齢者ビジネスは伸びる一方だっていうし。

 あ、なんか勢いで書いたからよくわかんない内容になっちゃってるかもしれません。すいません。


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介護センターで働くひとたちのほとんどは、看護婦の資格をもっていません。食事の世話、清掃、おむつの取り替えや洗濯など、医療に関連しない作業に携わっている限り資格は要らないわけです。

まあ、だから、結局彼らは“白衣の天使”ではないわけで。お年寄を邪険に扱おうがどうしようがそれが病院の方針ならしょうがないわけで。優しく扱うだけの給料も貰ってないだろうし。














































たとえばある広告の制作にかかったお金がこの計算で11万円、制作費が10万円しか取れないとします。しかし広告の版下は一回作ってしまえば再利用が効きます。特に最近はMOでの入稿が主ですから、デザイナーのハードディスクにデータが残っていれば、下手すれば元はMO代のみ。

ですからこれを広告掲載料10万円の雑誌に六回使用することが決定していて各マージンが25%だとすると、結局14万円浮きます。出版社の担当者との電話連絡や打ち合わせ、MO代などを差し引いても10万円は残ります。

いや、でも常にこういうカタチの原価計算しながら仕事やってると、だんだん人間が卑小になってゆく気がしたものですが・・・。














































“説明を受けた上での同意”。日本病院会が1994年(平成6年)1月に掲げた“医療の基本”であり、“医療側と患者との信頼関係を築く上での医療倫理”。詳しく知りたいかたはこちらへ。