渋谷(薄膜)篇



いまは亡き僕の父が、生前よく「素面でおま○こなんて恥ずかしくてできるか。俺はとてもじゃないが酔っ払ってないと駄目だ!」と、ことあるごとにいっていたそうだが・・・。いや、この親にしてこの子ありですな、まったく。

前回訪れてから二回上京したにも関わらずなんとなくチャンスを逃し、うーむそろそろこのコーナーも更新しなきゃ(をい;)とか思って、今回はスケジュールを緩めに摂る。とりあえず緊張をほぐそう。

で、まず昔いきつけだった中野の焼鳥屋にいって飲んだ。店の以前と変わらない雰囲気に、いい気分で飲んだ。というか飲み過ぎた。一時間半ほどでビール小瓶一本と熱燗四本。

中野の店を出たのは20時過ぎだが、すでに足取りが定かではない。おい大丈夫かよ俺駅の階段踏み外しそうになるし。しかし僕は、今回はかなり固い決意をもって渋谷で山手線を降りた。

さて、渋谷駅徒歩約10分のいつものビルで、エレヴェイタを10階で降りる。店は当然のように営業していた。考えてみれば僕がこの店を知ってから6年になる。その間ずっと場所を変えないというのは、ある意味すごいことかもしれない。

受付に向かうと、おにいちゃんが訊いてくる。「いらっしゃいませ、ご指名、ご予約はありませんか?」ありません、と答える。一年半ぶりにきて指名ができるわけがない。

「コースはなんになさいますか?」

ぼんやりと頭上のメニュウ表を見上げる。30分、45分、60分、90分の基本コースに分かれている。いつもの60分コースにした。オプションは、と訊かれるが、面倒なのでありません、と答える。気合い入ってるわりに、えらくいい加減だ。

待合室に通されて女の子のカードを見せられるが、ほとんど考えずに(というより、考えるのが面倒なほど酔っ払っていた)、「この子ならすぐに入れます」と薦められたT絵ちゃんという女の子にした。

「それでですね、女の子の服装ですが」
「え、なんでもいいですよ。どうせ最後は脱いじゃうんですし」

これは考えるのが面倒だったせいもあるが、基本的に僕はイメージに依存するタイプではないからだ。女の子がセーラー服を着ていたところで本物のぢょしこおせえではないし、ナースの格好をしていたところで看護婦さんのわけではない。

だから僕は、イメクラでアニメやゲームのキャラのコスチュームを着た女の子相手にえっちな行為ができるひとを、ある意味ひどく尊敬している。CCさくらのカッコと髪型をしていても、顔は全然違うわけだし。

とはいえ、サーヴィス精神旺盛なのか、おにいちゃんは執拗だった。
「あのう、まあ、それはそうなんですけど、女の子がお客様のお好みの服装で現れるとですね、えー、なんというか、気分的に、その、最初から、違うと思うんですが」

じゃあワイシャツにしてください、と答える。それはもともとこの店で「なんでもいいです」と答えたときの定番だった筈なのだが、さすが平成不況下の接客業、客に選ばせないと向こうが満足しないらしい。

待合室で文庫本を読んでいるうちに、名前を呼ばれた。「では、4号室にどうぞ」。指定された部屋のドアをノックして、なかに入る。「こんばんはぁ」。どちらともなくそんな挨拶のことばが出る。

「そんじゃっ、脱いで脱いで。シャワーいこうねっ」

うー、なんかテンポが早い・・・。でも考えるのが面倒なのでさっさと服を脱いで腰にバスタオルを巻き、T絵ちゃんに従う。シャワールームで向かい合って、改めてT絵ちゃんを間近で見る。

T絵ちゃんはかわいらしい女の子だったが、ちょっと吊り目がちなのがあんまり好みではない。でもおっぱいは手のひらサイズ、乳首も小さく、ウエストも細い。からだは完全に僕好み。

シャワーを浴びている間なにを話したのか、実はまるで憶えていない。僕の脳はアルコールと戦い、そして、「息子が役に立たなかったらどうしよう」という怯えと戦っていた。実際T絵ちゃんに洗ってもらっている最中、それは縮こまったままだったし。

シャワーが終わると、以前は女の子がシャワールームに残って自分のからだを洗っていたのに、T絵ちゃんは僕と一緒に4号室に戻ってきた。「ちょっと寒いね」とT絵ちゃんは素肌にワイシャツを羽織り、ベッドに座った僕と下から向き合う。

「じゃあねぇ、どうしよっか?」
「え、どうしよっかっていわれても・・・」

以前ならなにも訊かずに有無をいわせずディープキス、そのあと全身リップサーヴィスという順序だったのだが・・・。いきなり訊かれてもとまどうペリカン。するとT絵ちゃんは下からじーっと僕の眼を覗き込んでくる。

なんだかその上目づかいがひどくかわいくて、思わずT絵ちゃんの顔を引き寄せてキスする。T絵ちゃんは応えて、舌を絡めてくる。僕は無意識に右手をT絵ちゃんの背中に廻し、きゅっと引き寄せる。ワイシャツごしの、やわらかくてあたたかいからだ。

唇を離すと、T絵ちゃんは僕を仰向けにした。手で乳首をさする。
「ちくび、カタくなってる。・・・感じてんの?」
「うん」

そのまま僕の上半身をさすってゆく。ワイシャツ一枚に包まれたT絵ちゃんのからだが、ひどくえっちに感じられる。胸元からおっぱいが覗いたり隠れたり、裾からT絵ちゃんのおんなのこの部分が見えたり隠れたりして。

「ねえ、はだかにワイシャツって、ホントのはだかよりえっちだね」
「そう? じゃあ、もうちょっと、このままで、する?
「うん、そうして」
「わー、もうこんなになってるぅ」

T絵ちゃんのことば通り、息子は80%まで成長していた。T絵ちゃんは息子にゴムを被せると、口に含む。戦闘準備OKの状態でそうされると、やっぱり気持ちいい。

T絵ちゃんは息子を口で愛撫しながら、お尻を僕の斜め左側に向けている。僕は左手を伸ばして、T絵ちゃんのクリトリスに触れた。T絵ちゃんの口の感触を楽しみながら、僕はそこをゆっくりとさすった。

少しずつT絵ちゃんの呼吸に声が混ざりはじめ、左手にぬるぬるしたものを感じるようになってきた。・・・と、T絵ちゃんは突然お尻をまっすぐ僕の顔の上にもってきた。69だ。

T絵ちゃんのそこは、すごくかわいらしいカタチをしていた。僕は指でクリトリスをさすりながら、T絵ちゃんのなかに舌を挿し入れた。T絵ちゃんの味がした。試しに舌をすぼめたもうひとつの穴に伸ばしてみる。

「ひゃんっ!」
「え?」
「だめぇえ、そこはNGだよっ」

そうですか、残念。僕は右手のおや指でT絵ちゃんのクリトリスをさすり、舌をなかに出し入れしながら、左手を伸ばしてT絵ちゃんの乳首を交互に弄んだ。乳首が固くなってるのがわかる。

僕のアタマは相変わらずぼーっとしていたけど、とにかく下半身はT絵ちゃんの口のなかですごく気持ちいい状態が続いている。しかも酔っ払ってるからエネルギィ充填100%くらいを維持。あ、なんかすごくいい感じ。

と、T絵ちゃんが突然息子から口を離して上体を起こした。

「・・・ごめん。顎が、疲れちゃった」
「ん。小さいから疲れるんだね、ゴメン」
「えー、そんなことないよ。小さかったら顎疲れないもん」

「でもアメリカ人には負けるだろうな、やっぱり」
「だね。撮影で西海岸いったけど、はじめてじゃないのに血ぃ出たもん」
「へ? 撮影って、もしかしてアダルトヴィデオの?」
「そうだよー」

・・・この子っていったいどういう子なんだろう。

「タイトル教えてよ、機会あったら観るからさ」
「えー、もう忘れちゃった。その辺にごろごろしてるようなやつだよ」
「そうかぁ、残念」

「向こうの女のひととレズシーンとか撮ったんだけどさ、腋臭がすごいんだよね。もうカラミやってる間じゅう、なんとかしてぇ、って感じ」

・・・つくづく、この子っていったいどういう子なんだろう・・・。

「それじゃ、フィニッシュいこうか。・・・ゴム、外す?」
「え? 外していいんだったら外してほしいけど」

T絵ちゃんは息子をはだかにして、ローションを塗った。さすがにワイシャツはもう脱いでいる。上と下、どちらがいいかと訊かれたので、とりあえず上にならせてもらうことにする。

T絵ちゃんのそこに息子をあてがい、僕は動きはじめた。T絵ちゃんは手で息子を押さえてる。が、ちょっと大きく動くと間違えて入ってしまいそうで怖い。で、小さく速く動くと、酔っているせいですぐに息切れしてしまう。

「ごめん、やっぱり下にして」

今度はT絵ちゃんが上になって再起動。両手をおっぱいに伸ばして乳首をおや指でさすってみるが、さっきは固かったそこは、少しへこんだように萎れている。気持ちが乖離してしまったようで、ちょっと悲しい。

とはいえ、すでに息子のエネルギィ充填率は110%。加えてT絵ちゃんの握りはキツく、動きは速い。おいおいおい、と思ってるうちにエネルギィ充填は120%を超え、僕はT絵ちゃんの手のなかに放出していた。

終わって、まだちょっと時間が余っていたので、T絵ちゃんとはなしをした。

「私、小さい頃バレエ習ってたんだよね」
「え? おじょうさまじゃん」
「んー、そうかも。お姉ちゃんもピアノやってたし」
「そんなおじょうさまがなんでこんな仕事やってんの?」

ちょっと失礼な質問だったかもしれない。アダルトヴィデオに「白金のお嬢様」が平然と出演する時代なのだ。でも、そのときは、お嬢様=西海岸でアダルトヴィデオのロケ=ふーぞく嬢という図式がどうしても呑み込めなかった。

「うーん、でも、私、サーヴィス業に向いてると思う、自分でも」
「机に向かってする仕事とか、駄目なの?」
「うん。ママも『合ってる』ってゆってくれたしね」
「え? ママって、お母さんのことだよね?」

「うん、そう。あったりまえじゃん」
「親にこの仕事やってること公開してんの?」
「そうだよー。うち、オープンだから」

そのうち時間がきて、僕はT絵ちゃんに「おやすみぃ」と見送られて店を出た。・・・よく。わからなかった。T絵ちゃんのはなしは、できすぎてるような気がした。よくあるアダルトヴィデオの自己紹介みたいに。

T絵ちゃんと自分との間に、薄い膜がずっとかかってるような気がした。素肌に着けたワイシャツのように。だからどうだといわれれば、「からだは、気持ちよかった」と答えるしかないのだけれども。


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このコーナーではお馴染みの店(旧『お元気ハウス』)。電話番号は03-3406-8484。渋谷駅を郵便局方面へ徒歩約10分。

興味のあるかたは店に電話して「友達に紹介されたんですけど」といえば正確な位置を教えてもらえると思います。ビルに看板等は出ていませんので、ふつうは絶対わかりません。