時代・歴史小説(戦国時代篇)


注1:()内は、僕が読んだソースです。なお、あくまで個人的
味に基づいていますので、批判はお断りします。



1.『新書太閤記』 吉川英治
(講談社 吉川英治全集、全五巻)

やっぱ、日本人。 吉川さんは“泣かせどころ”を心得ていて、あの信長でさえすげえいいひとに見えるし、前田利家と藤吉郎の友情も泣かす。 しかもそれが嫌みに見えないのがミソだと思う。 大家への敬意も込めて、第一位。


2.『捨て童子・松平忠輝』 隆慶一郎
(講談社文庫、全三巻)

隆さんの作品はみんな好きなんだけど、最初に読んだときに主人公の最終的な年齢が自分と同じだったので、シンパシィを感じた。 “忠輝のその後”を描かずに逝かれた隆さんがうらめしい。 ついでに『死ぬことと見つけたり』も、あんな中途半端で。 あああああ。


3.『秋霖(しゅうりん)』 西村寿行
(角川文庫、上下巻)

尼子勝久の数奇な一生を描いた作品。 山中鹿之助と吉川元春のキャラクターが非常に魅力的。 “火渡兼(ひわたり かぬる)って実在の人物なのかなあ・・・・。 もしこれが大河ドラマの原作になれば受信料を払ってやるぜ、N○K (ぜったい無理。そんな勇気ないでしょ、ね)!


4.『北辰の旗』 戸部新十郎
(徳間文庫)

一向一揆に国を獲られた大名、富樫政親の一生を独自の視点で描いた名作。 歴史上の人物というのは光のあてかたで魅力的にもなるし、ただのバカに見えたりもする。 戸部さんの史実とフィクションが完璧に融和している文章は味があって、とても好きです。     


5.『本多忠勝の女』 井上靖
(角川文庫『真田軍記』所収)

真田信幸 (昌幸の長男で幸村の兄。 関ヶ原戦ののち、“信之”と改名) に嫁いだ本多忠勝の娘、月姫のものがたり。 月姫が非常にかわいらしく描かれている。 日本男子ならこういう嫁をもらいたいと思わせる名作。


6.柴錬立川文庫 柴田錬三郎
(文春文庫『真田幸村』『猿飛佐助』など)

シリーズもの。 柴錬独特のなんじゃこりゃというような荒唐無稽な設定のなかに、ふっと涙を誘う部分や考えさせられる部分がある。
どうしてもひとつを選べなかったので、こういうカタチのランクインとなった。 ごめんなさい。


7.『真田十勇士』笹沢左保
(光文社時代小説文庫、全五巻)

あちゃ、真田十勇士ものが並んでしまった・・・。 天海=明智光秀説とか釜ゆでになった石川五右衛門は実は替え玉だったとか、とにかくエンタティンメントに徹する。 どんな作品でもいつも悪役の淀君が、死の間際に改心するのがよいと思う。


8.『鳥獣戯話』 花田清輝
(講談社文芸文庫『鳥獣戯話・小説平家』所収)

信玄の父、武田信虎をコミカルに描く。 甲州流の兵法が実は猿の集団行動をモデルにつくられたとか、甲斐を追放された信虎がその後も裏から歴史を操っていたとか、もうまさしく“真実と嘘の皮膜”という感じ。 すげえ面白い。


9.『天と地と』 海音寺潮五郎
(角川書店 全三巻)

ご存じ上杉謙信の幼年時から第四次川中島決戦までを描いた作品。 謙信には実は好きな女性がいて、でもそれは重臣宇佐見定行の娘だから遠慮してるうちに彼女は病気で死んでしまう。 川中島のスペクタクルよりも、その若き謙信の切なさのほうが、心に残っている。


10.『謀将・直江兼継』 南原幹夫
(角川文庫、上下巻)

私事だが、僕はこの本の上下巻をハワイに持ってゆき、毎日ジョギングのあと、ホテルのテラスで日光浴しながら読んだ。 北国のはなしなのに、不思議にホノルルの強い太陽に合っていた。 ラストのどんでん返しは必見。




試験版をご覧になられたかたがたにおわびです。 アップロードしたあとで、どうしても入れたい作品ふたつを見落としていたことに気付いてしまいました。 すいまへん、急いでたもので・・・。

なので急遽、作品を戦国時代 (応仁の乱から大坂夏の陣まで) に限らせていただきました。 そのため、多少ランキングが変わっています。 他の時代篇については、機会があればまたやるつもりです。



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